仲値(TTM)とは?TTS・TTBレートも解説!

Yumiko Kijima

仲値(TTMレート)とは

銀行・金融機関は、午前9時55分時点の為替レートを参考にして、その日の基準レートを制定します。この基準レートのことを仲値、もしくはTTMレート(Telegraphic Transfer Middle Rate)と呼びます。仲値は基本的に24時間変動しません。ただし、仲値を制定してから為替レートに1円以上の変動があった場合は、改めて仲値が定められます。¹⁺²

でも、なぜ銀行はわざわざ仲値を使うのでしょうか?それは、実際の為替レート(ミッドマーケットレート)は、市場の動きに合わせて刻一刻と変動していて、銀行などの金融機関にとっては取り扱いが難しくなるため、1日原則固定の仲値を定めているのです。

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仲値では取引されない?! TTSレート・TTBレートとは

しかし、銀行での為替取引は仲値を使って行われるのか、と言ったら、実はそうではありません。仲値はあくまで「基準レート」であり、為替手数料を足したTTSレート(円→外貨)と、手数料を引いたTTBレート(外貨→円)が定められます。¹⁺³

具体例を見てみましょう。2019年12月13日のみずほ銀行の仲値は1ドル=109.56円でした。この日のTTSレートは「仲値+1円」の1ドル=110.56円、TTBレートは「仲値‐1円」の1ドル=108.56円となっていました。⁴

つまり、円を外貨に変える時も、外貨を円に変える時も、仲値よりも損なレートで取引が行われることになります。

例えば、10万円をアメリカのドル口座に送金する場合、仲値では100,000円は912.74ドルに相当しますが、TTSレートでは904.49ドルと、送金額が目減りします。

為替レート 100,000円に相対するドル
仲値 1ドル=109.56円 912.74ドル
TTSレート 1ドル=110.56円 904.49ドル

また逆に、1,000ドルがアメリカから送られてきて、それを日本の円口座で受け取る場合、仲値では1000ドルは109,560円に相当しても、TTBレートでは108,560円と受取額が目減りします。

為替レート 1000ドルに相対する日本円
仲値 1ドル=109.56円 109,560円
TTBレート 1ドル=108.56円 108,560円

仲値とTTSレート、またTTBレートの差(為替手数料)は、銀行の利益となるものです。為替手数料は各銀行が独自に定め、通貨によって異なります。

為替手数料は、TTSレート・TTBレートに含まれているため、気付きづらい「隠れコスト」とも言えますね。

海外送金をする際に、「為替レート」について知っておきたいこと

日本から海外へ送金する際、銀行は仲値に幾らかの為替手数料を上乗せしたTTSレートを使って送金することが一般的です。

海外送金の際には、各銀行の送金手数料だけでなく、為替レートにも注意するといいでしょう。以下の表は、10万円を元手に送金を行った場合に相手の受取額がいくらになるかを比較しました。

(例)10万円を元手にアメリカの銀行口座へ海外送金する(中継銀行手数料は送金人負担する場合)

銀行/プロバイダ 送金手数料(中継銀行手数料を含む) 両替される日本円額 適用される為替レート 実際に受取人が受け取れる額
Wise Wise(ワイズ) 1,007円 98,993円 実際の為替レート(1ドル=108.575円) 911.75ドル
三井住友銀行 三井住友銀行SMBCダイレクト 6,000円 94,000円 三井住友銀行が定めるTTSレート(1ドル=109.585円) 861.66ドル
新生銀行 新生銀行Goレミット 2,000円 98,000円 新生銀行が定めるTTSレート(1ドル=109.524円) 894.78ドル
ソニー銀行 ソニー銀行 6,000円 94,000円 ソニー銀行が定めるTTSレート(1ドル=108.696円) 864.80ドル
楽天銀行 楽天銀行 1,750円 98,250円 楽天銀行が定める為替レート(1ドル=109.551円) 896.84ドル

(2019年12月11日時点)

送金手数料が同じ三井住友銀行とソニー銀行でも、相手の受取額が違うのは為替レートの違いによるものです。

為替手数料が1円と定められている三井住友銀行では1ドル=109.585円のレートが適用されるため、94,000÷109.585=861.66ドルが受取額です。一方で、為替手数料が15銭のソニー銀行では、1ドル=108.696円のレートで94,000÷108.696=864.80ドルが受取額となります。差額の3.14ドルは為替手数料の差によって生じたものです。

また、楽天銀行のようにTTSレートのように24時間固定のレートではなく、その都度に応じたレートで送金を行う銀行も少数ながらあります。しかしその場合も為替手数料が上乗せされていることは変わりません。

どの為替レートならフェアなのか?

では、どの為替レートならフェアであると言えるのでしょうか。ある瞬間の市場情勢を最も適切に反映した為替レートを、ミッドマーケットレートと呼びます。

ミッドマーケットレートはリアルタイムで変動しており、Googleで「円 ドル レート」などと検索したときに表示されるレートです。24時間固定されることがない点で仲値とは異なり、また為替手数料も含まれていないためTTSレートやTTBレートとも異なります。

上でも見た通り、銀行やほとんどの海外送金プロバイダは、TTSレートや為替手数料を上乗せした独自のレートを使って送金を行っています。しかし中には、ミッドマーケットレートで送金するサービスもあります。その代表が、Wise(ワイズ)です。

銀行に代わる、リアルレートの海外送金:Wise

Wiseはエストニア発の新しいオンライン海外送金サービスです。為替手数料を一切上乗せせず、リアルタイムの市場情勢を最も適切に反映したミッドマーケットレートを使って海外送金を行っています。そのため、為替レートに含まれた「隠れコスト」を気にすることなく、手軽に送金ができます。

「その分、送金手数料が高いんじゃないの?」と思った人もいるかもしれません。しかし、Wiseは国内送金を活用した画期的な送金の仕組みを採用しているため、送金手数料も銀行より安く抑えられています。結果的に、銀行よりも最大で8倍安く送金できることも。

さらに一般の銀行では、送金を受け取る側にも受取手数料が発生することが一般的ですが、Wiseなら受け取り人に手数料は一切かかりません。受け取るだけならアカウントを開設する必要もないので、相手にとっても便利な送金方法といえます。

Wiseでは、送金前に海外送金シミュレーションを行うことができます。どれだけ安く送金できるのか、ぜひ確かめてみてください。Wiseが本当に一番安い海外送金の方法かどうか、他のサービスとの比較も行なっていますので、確認してみてくださいね。

仲値まとめ

仲値とは、銀行が為替業務を行う際に基準とするレートのことです。仲値は毎朝10時ごろに定められ、24時間変動しません。この仲値を参考に、銀行はTTSレート(円→外貨)と、TTBレート(外貨→円)を定めます。

日本の銀行から海外送金を行うと、送金額はTTSレートで両替されます。これはその瞬間の為替情勢を適切に反映していないだけでなく、隠れコストとして為替手数料が含まれているため、海外送金の合計コストが高くなってしまうという問題があります。

市場に忠実なレートで海外送金したい場合は、Wiseのように、常にミッドマーケットレートで送金するサービスを使うのもいいでしょう。

海外送金の際は、為替レートにも注意してよりお得な送金ができるといいですね。


ソース

  1. 仲値│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券
  2. 仲値(なかね)| みんかぶFX
  3. TTS/TTBとは何ですか? | 海外投資口座開設マニュアル何でもQ&A | 橘玲×ZAi ONLINE海外投資の歩き方
  4. 外国為替公示相場 | みずほ銀行(2019年12月13日16:59(GMT-5)確認)
  5. 海外送金にかかる手数料を比較 | 為替レートを比較 | Wise(2019年12月11日22:48(GMT-5)確認)

*最新の手数料に関する情報は、お住まいの地域の利用規約およびサービスの利用条件をご確認いただくか、Wiseの手数料ページをご覧ください。これは一般的な情報提供を目的としたものであり、Wise Payments Limitedまたはその子会社、関連会社による法律、税務、その他の専門的なアドバイスを意味するものではありません。また、ファイナンシャルアドバイザーやその他の専門家によるアドバイスの代わりになるものではありません。



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